「必殺するめ固め」

つげ義春と言えば、「ねじ式」が有名。悪夢を誇張したような個性的な内容によって現代日本漫画の古典的名作となっているが、その「夢」表現が頂点に達した作品集。
著作物における夢の表現は往々にして「そんな整合性のある夢は見ない」といえるようなものばかりだが、「必殺するめ固め」のなかの作品の数々は、私などが見る夢以上に整合性が欠けているような、しかしその現実に比べておかしくなる仕方には凄まじい説得力があるという、驚異的な作品群。本当に夢を元にしているかどうかはわかりませんが。
夢と言えば小説では内田百間(どうやらJISにはちゃんとした「けん」の字がない?)。たしか「冥途」あたりの作品集で、リアリティのある夢の表現があり、おかしなことで泣いてしまう気分が伝わってきたような気がしたが、「必殺するめ固め」はそれに匹敵するかそれを超えているのではないかと思える。
81年刊行、あまり詳しく調べたわけではないが、未だに晶文社で版を重ねている様子。


ねじ式」のパロディーが「マカロニほうれん荘」にあって、先にそちらのほうを読んだ・・・というのは蛇足。