「バルバラ異界」

バルバラ異界 (1) (flowers comics)

バルバラ異界 (1) (flowers comics)

傑作。
前作「残酷な神が支配する」は、ずいぶん長く続いていた。そして、これもある意味で完成度の高い、しかし読む私たちのみならず作者をも陰鬱にさせたのではないかと邪推してしまう作品だったのだが、一転して胸のすくような快作が登場・・・と、連載中の段階で言っていいのだろうかとは思うが、書いてしまおう。

突拍子もない話が突拍子もなく進行する「SF」だが、これは私たちの話だろう。「私」たちの・・・「残酷な神が支配する」は、私「たち」の話かと・・・こんな言葉の綾にあまり意味はないか。

私たちはつまらない日常を生きているのだが、「バルバラ異界」はすぐそこにあり、ひとりひとりの精神の運動はこの世界と無縁ではない・・・なんて、変なことを、ふと思う。
「つまらない日常」ってなんだ?精神は自由といえば自由だ。ふと、一冊のマンガを取って読むと精神の動きが形になって現れている。
こんなマンガがあって、それを読むことができる、そんな環境に私は生きていて、つまらないどころではない酷い目に遭っているひとたちの住む世界と地続きだ。そんなひとたちがこんなマンガを手に取り読むことは不可能だけれど・・・多くのもっとわかりやすいマンガよりも、これはそんなひとたちにも関係があるような気がする。

2巻まで刊行中だと思っていたら、3巻まで出ている。読まなきゃ。連載中。