「フィラメント」

フィラメント~漆原友紀作品集~ (アフタヌーンKC)

フィラメント~漆原友紀作品集~ (アフタヌーンKC)

日本のマンガ界には、まだまだすごい人がいるようだ。
絶版になった初期作品と新しい数編をまとめた短編集。最近のものに比べ、古いものは凝りすぎている感じもあるが、コマ割り、構図等緻密で個性的ですごい。登場人物の表情が最近のものより乏しいかなと思えなくもないが、それは比較するから。
これは新しい方の作品だが、今は廃墟になっているだろう迷宮のような集合住宅団地の話しは、その設定だけでも(もちろんそれが活きているからだが)引きこまれた。これは負けた。なにかいい美術作品に出会った感じだ。私は何をやっているのだろう。と、感じても落ち込む類のものではない。わくわくする。
作者の人はどちらかというと若い、新しい世代の人だろうと思うが、黒田硫黄といい、幸村誠といい、自分よりかなり若い世代(漆原さんがそうかどうかはわかりません)に、才能を見つけることが多く、過去のものを超えている、過去の傑作のすごさとは違った新しい優れた点が存在する作品群が生まれていることに、マンガの可能性を感じる。