「鉄腕バーディー」2

鉄腕バーディー 9 (ヤングサンデーコミックス)

鉄腕バーディー 9 (ヤングサンデーコミックス)

9巻が出た。早速買って読んだ。
タイトルはこのマンガに関しての2度目のエントリということで、マンガの巻数と関係ないのが微妙で申し訳ない。しかも最初のエントリは他からの移行で、このブログではこれと同時に出現している。

ゆうきまさみは私には最も「しっくりくる」マンガ家だ。
オタク出現期に、そのど真ん中からオタクの良心のように出現したゆうき氏。その出自を感じさせる設定等をふんだんに使ったり全く使わなかったりしつつ、実はオタクらしさを全く感じさせないストーリーは、オタク出現以前のコミック、アニメ文化の最も良質な部分を正統に引き継ぎ続け、現代に蘇らせている・・・というか、普遍的な人間への理解と、より正確な現実の把握から、いま書かれるのにふさわしいものを書いているというか・・・おおげさだぁ。

「オタク」といえば、「究極超人あ〜る」が、「げんしけん」の出現によってまた注目されつつあるようだ。「パトレイバー」はある意味「ガンダム」後の作品はどうなるかという問いへの(そんなことを意識したわけではないだろうが)最も優れた回答のひとつかもしれない。「じゃじゃ馬グルーミンアップ」は、少年マンガの日常描写の極点ではないか。等々、振り返るとすごい作品群で、「鉄腕バーディー」は旧作のリメイクでもあるしちょっと地味かな、今なぜそんな、という気も当初はしていたが、世界に誇る日本のコミック作品のスタンダードをがっちり作ってきたのかと、いや、しかしそれが、自然体に思えるんだなぁ。
仕事量や作品の質の維持なども含め、すごい作家は何人もいる。同時にわかりやすさも失っていない、浦沢直樹かわぐちかいじ、このふたりの作品は読むと面白いのはわかっている。ただ、いまは読まず、そのうちでいいなと思っている。新井英樹からは目が離せないが、やっぱりちょっと読む人を選んでしまう。そのことで作品が犠牲にならないのであれば、わかりやすいにこしたことはない・・・。言葉が全く適当ではないが、ゆうきまさみのいる場所は、実はとんでもない場所のように思える。


ここからは別件。
先日古本屋でゆうきまさみが「究極超人あ〜る」連載直前に、ちょっとマイナーだったアニメ雑誌アニメック」に連載していた「マジカル・ルシィ」の単行本を手に入れた。
最初のほうでは水平垂直の構図が多く、ちょっと変化に欠けた感じの絵柄が、連載を進めるうちに空間感を獲得していく課程が、感動的だった。現在のキレイにペン入れされた原稿だと、かえっておとなしく見えてしまっているのかもしれない。少ない線の手抜きのようなものや、下書きに、かえって画力がわかりやすく出ている。マンガの絵は絵画と、記号と、映像の間を行き来しているのではないか、的確にその交点を結んだあたりにゆうきまさみの絵はあるのかもしれないなどということも考えさせられる、幸せな買い物だった。100円か200円だったな。
絵も上手いよね。しかも実は誰にも似ていない。