「ヨコハマ買い出し紀行」
- 作者: 芦奈野ひとし
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/07/22
- メディア: コミック
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この最新刊はまだ読んでいる途中だが。
最近の密度の高いマンガからすると、いや普通の少年漫画などとくらべても、1話あたりの時間も物語もスカスカと言っていいほど薄い・・・と、いうと、悪口のようだが、全然。
な〜んにもないと思っていたけれど、実は空気がすごくおいしいことに気付かせてくれるような、不思議な魅力のマンガ。
最初読み始めた頃、少しずつ舞台設定が見えてくる時に、じわっ、と、全身から染み込んでくるように、伝わってきた。
「生活」と、「コミュニケーション」なんて言葉が浮かんできたけれど、なんだろうな。「コミュニケーション」なんていっても、しっかり対面して言葉で話し合うのは、ひとつの方法に過ぎないとか、あたりまえのことだけれど、なんだろう・・・。
あと、物事を(知的に?感覚的に?)とらえる時に、類型的に、形式的に、単純化してとらえ、消化する、そのときに無くなっちゃう養分のようなものが、蓄えられているというか。
ふつうに感じて、普通に生活しているだけとも言うか。
生活に関して言うと、自由業の私と通じる部分も少しある。少しだけ。
共通点としては、その日やることを、いちおう自分で決めること。ひまが多いこと(もちろんこの話のようだと、食っていけないから、全然ちがうけれど)。人にあまり会わないこと(会社で4、5人にしか会わない人より、もっと会わないし、これもまたいちおうだけれど自分で決める)。
そういうことがすごく良いとは限らないが、日本で生きるとき、そして「安定した職」とか言った時に(そうでなくても就職したりすると)、必ずじゃないけれど、運が悪いと、本人の意思にかかわらず失わされてしまう自由というか、自分の生活というか・・・それが、ある。
あ・・・定職に就き、誇りを持ってその仕事を続けている、そんなひとの前では私の生活など恥ずかしいだけだが、しかし、フリーターとかニートとか言われるひとが増えるのはわかる気がしてくる。ある種の業績を上げている会社の中には、朝礼で大きな声で目標を言って・・・私には冗談じゃないとしか思えない・・・普通の人が普通にそんなことをしているのだろうけれど・・・そんなこと絶対にしない国って、ないかなと、ふと、思う。「そんなの全体主義じゃない」なんて、みんな言うような・・・話がそれた。
いや、別に、普通に勤めていて、しっかり暮らせば、充分素晴らしい。
なんというか、自分の時間がちょっとなにかに侵されてしまっている感じがするひとは、ちょっとこのマンガを読んでみたらいいかなと、ふと思った。
あ、あと、不思議な魅力の絵だな、この表紙とか・・・。