「団地ともお」2

団地ともお (5) (ビッグコミックス)

団地ともお (5) (ビッグコミックス)

5巻が出た。
これを初めて読んでからおそらく半年。全部新刊で買った。と、いうのは私には大変珍しい。出るとか出たとかネットでは見たのだけれど、札幌の大きめの書店でもなかなか並んでいなかった。が、なぜか近所のスーパーのちっちゃい書店に登場、すぐ買う。すぐ読む。

こいつは大変憎いマンガだ。腹が痛くなりそうなほど笑ってしまうのが基本だが、ここまで気になってしまったのには、も少し理由がある。
なんだか身に覚えがあるのだ。しかも悔しいことに自分の身に覚えがあることより、15%くらい、いい(by吉田戦車)。35%くらいでたらめでもあるのだけれど、それがまた、その、15%くらいのよさの原料でもある。懐かしい、もう一度食べたかったあの味を、思いもつかない材料も使って見事に再現したような。もちろん同時に本当に懐かしい材料もふんだんに使っているような。

(ここからもしかしたらネタバレかもしれん。また、読んでいない人にはわからん。)
スライムの話しはすげえ。全然すごくなくすごい。頭の固いオヤジ、なぜか「スライム」という発想だけは超的確。この子供会すげえ。子供の頃にこんなことがあったら大ブレイク間違いなし。だからといってなんでも「スライム」で表現はせんだろうが。この「スライム」の使い方はどこかの方言で、「バリ」なんとかっていうのと似ているような気もするが、ふつうに最近の「超」なんとかというのとも似ているようでもある。
ともおの先生の先生の死の話、こんな鈍い人が先生をやってられるご時世ではなかろうが、ともおの世界ではもちろんありだ。これも、私の子供時代には、ここまでではないにしろ、先生の成分としてはこんな感じがなにかあったような気もする。いまも、もしかしたらあるのかな。そういえば、「ののちゃん」の先生もなかなかすごいが、ともおの先生にも負けずに頑張って欲しい。・・・それはともかく、このへなちょこ先生は大変いい授業をすることになった。こんな授業も、いまのご時世むずかしいだろうけれど・・・。
おかしな童話が出てくる回があるが、こんな童話があるわけないだろう。あるとしても、それを題材に書いた感想文が賞を取るとか、その記憶のために子供たちに何日もかけてその童話の授業をするなんて・・・。しかし、こんな変な童話を読んだ覚えはないにしても、なにか先生が教科書に載っていない題材を使って授業をした時の、いや、教科書の教材だって、「なんでこんなものを読んで、しかも感動しなきゃならないのかよくわからない」ような感覚があったような覚えはある。今読んだほうがかえって感動するようなものもあるのだろうが・・・そういえば国語は小学校の時が特に苦手だったなあ。そのなにか不条理感を、大人になった今味わうことができるすごい童話だ。これはわけがわからなくて読むのがつらい。「スポーツ大佐」も、なんだか違った意味でとても妙な感じだが。

なんだろうな。このマンガのキモは。この舞台は今で、「虫カード」とか今のようなものもあるが、「スポーツ大佐」のようになにかちょっと昔のテレビマンガを思わせるものもある。どっちだろう。普遍的なこどもの感覚を呼び覚ましてはいるようだが。そうしてなんだか、脳の中の、かゆいのに手が届かなかったところがスッキリしたような気分になるのだが。

ふと、気付くと、いい話が満載だ。なにかにとらわれちゃって、袋小路に陥って行き詰まってしまいそうになったりするのだけれど、それをわざとらしくなく見事に解決する。解決しようとして解決するドラマが多いけれど、そんな感じでなく、ひょんなことで解決するのだ。でも「いい話」なんてタイトルは付きにくい感じで、それが憎い。