加藤和彦さん追悼
加藤和彦さんが亡くなられた。自殺という。うつ病だったという情報もある。
遺書や知人に当てた手紙などには「世の中が音楽を必要としなり、創作の意欲もなくなった。死にたいというより消えてしまいたい」というようなことが書かれていたという。
日本のポピュラー音楽の世界に、独特の、不思議な存在感を示し続けていた人。
フォーク・クルセダーズでの、「帰って来たヨッパライ」「悲しくてやりきれない」「青年は荒野をめざす」、それから「イムジン河」・・・「水虫の唄」っていうのもあったのか。北山修との「あの素晴らしい愛をもう一度」が、この度のテレビ報道などで最も良く取り上げられている。「家をつくるなら」なんて歌もあるらしい・・・もしかしてあのCMの曲?
フォークの次にはロック(?)。サディスティック・ミカ・バンド、サディスティックスでの活躍。つのだ☆ひろ、小原礼、高中正義、高橋幸宏、後藤次利、今井裕といったメンバーもすごい。「タイムマシンにおねがい」を、一時期は桐島かれん、最近は木村カエラを迎えて再結成、話題になっていた。
次は、ポップス(?)。その後のソロ・ワーク、ソングライティング・ワーク、プロデュース・ワークも印象的。とはいってもソロ作は聞いた事がない。とはいえ、発表当時は聞きたいと思っていた。印象的なジャケットが金子國義だったり、奥村靫正だったり。私の印象に特に残っているのは、竹内まりや「不思議なピーチパイ」。いちおうはこれもフィル・スペクターの流れの音・・・違うか・・・とにかく夢見るような雰囲気にさせる音。挙げ始めたら、たぶんキリがない。
「スーパー歌舞伎」や、井筒監督作品の映画音楽を手がけていたということも知ったが、どんなものなのか。
多くの訃報のなかに天才という言葉を見かける。そうだなあ。
しらずしらずのうちに聞いてしまって、なんというか、感性の栄養分として蓄えられているような、そんな音楽。私はボサノバやラテン系の音楽が好きだけれど、その根っこをさぐると、かなりの部分が加藤和彦の仕事の間接的な影響のようにも思えてきたが、その加藤和彦の背景、彼が栄養として取り込んできたものたちが何か、ちょっと想像しただけで広大なパノラマも、ほんのひとときの幸福も浮かんだ。
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