原子力事故について

メルトダウンがあったとか、もっとそれより悪いメルトスルーだとかいう話になってきて、いくらなんでもチェルノブイリほどひどくはないと思っていたのが場合によってはひどくなるというような話もある。私がもっと若くて時間があったら、それがいったい何を意味するのか調べてみたりするのだろうが、そうもいかない。
いずれにしてもチェルノブイリほど手の付けようがない状態にはならない可能性はまだ残っていなくはないという程度のことしか言えないのか、今は。
彼の件より悪いのは4つの原子炉があってそのあたりに存在している放射性物質の量とかがチェルノブイリの比ではなく多いということのようでもある、とか、もう、すぐにうろ覚えになってしまった記憶で書いているが。


これは4ヶ月前には想像だにしなかった最悪の事態で、「原子力事故を除いた」震災の被害は予想できなかった規模ではあるものの、またその予想できなかったための被害の拡大が随所であったことが伝えられるにしても、関係した日本人はある程度最善を尽くしていたと言える状態に近く、そのために被害が最小限に近く抑えられたと言えなくもない。
こんなことを書くことで犠牲になった方々の関係者の方々、今も苦しんでいたり大変な生活をしていたり、少なくともとても快適とは言えなかったり不安が消えない生活をしている人たちに苦い思いを感じさせてしまったら申し訳ないのではあるが、そう思う。
しかし、原子力の被害は、そのような形容が当てはまるのか。もし、原子力発電所の事故さえなかったとしたら、という仮定は口にすべきではない種のことばなのだろうか、本当に。


この期に及んでもマスコミの大勢や政治家の多くは原子力発電計画の修正(おそらく安全対策等の上積み的なもので)はいいとしても縮小すらも念頭に置いてはいないか、あるいは置くべきではないとさえ考えているのではないかと思われ、それがつまりは現実的だと考えている模様だ。支持率が低く卑怯者だと思われている首相がある程度それに対抗的な姿勢を持ってさえいる感じが奇妙なくらい。
鮮やかな対比を見せるのがドイツやイタリアでの世論で、またスイスの政策だが、これらの国からは原子力発電所がなくなるのかもしれない。ただし、国境を接したフランスで事故があった場合に影響を、むしろフランス国内より受けるスイスの大都市があるようだが・・・さらにはこれらの国がフランスから電力を購入しつづける見通しのようなのだが。


社会、経済体制の構想がいまだにエネルギー利用の爆発的な増大傾向を念頭に置かずにはいられない、その状況の中で利益を上げることの甘い誘惑から逃れられない、またそれを享受する権利を手放そうとしない、など、そんなことをどうすることもできないのか、人類は。
さらには、その利益優先の経済体制がある程度致し方ないにしても、そこで原子力は必須アイテムだったのかと思う。リスクを考慮しても・・・。
おそらく、最も短期的に利益を獲得する皮算用が成り立ったのだろう。そして、それがいかな危ういものであっても、食べてしまった毒は皿まで食べ続けなければならないのかもしれないような状況なのだろう、今も、あるいはこれからも。


破滅を予言した人たちが実は賢かったとか、そういう話なのか。
あるいは、破滅しても自分たちだけは助かることを是とする人たちがもっと賢いとでもいうのか。