「神戸在住」

神戸在住(7) (アフタヌーンKC)

神戸在住(7) (アフタヌーンKC)

大学生のふつうの毎日。登場人物は感受性が豊かでたくましいが、それもふつうといえばふつうだろう。しかしそれがみずみずしく輝かしい。ふつうの現実の大学生というのはもうすこしつまらないだろうか。ただ、ここに出てきているひとたちが特別なことをしているという訳ではない。
神戸の特別な点は独特に豊かな地域文化があることだろうか。それも出ている。他の地域にそれがないわけではないだろうから、見つける目があるかどうかの違いかもしれない。
神戸は震災の経験を持っている。それに関わるエピソードも出てきて、それはまるで優れたドキュメンタリーのようだ。
絵柄を見ていて気付いたのは目の描写が的確なことだ。いいマンガはみんなそうだろうが、何かを見たり、見ていなかったり、そのひと、その場面にふさわしい目だ。すっきりとした単純な描線なのに。
不用意に目を閉じなければ日常生活は輝かしい物であるということがわかる。ただ、どれほど私(たち)の目は曇っていることか。