「ハチミツとクローバー」
- 作者: 羽海野チカ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2002/08/19
- メディア: ペーパーバック
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書店の棚の平積みの様子、絵柄、どっかで話題になっていたな、ということで購入。勘が当たったようで、面白い。絵柄はユニークで、表現力が豊か。
その面白さの中に、自分自身が美術系の(教育大学だけれど)学科にいたので、ちょっとレベルは違うけれど少しずつ身に覚えがある感じがする、ということもあるので、ちょっとふつうの大学に行かないひとなんかはどうなのかな、とは思う。「自分探し」なんて甘っちょろいことを言ってる連中に、共感など出来ないかな。しかし甘っちょろいことでもそのへんにある「自分探し」でもなく、その甘そうなところをおちょくる視点もちゃんとある。
自分探しというとしゃらくさいが、自分のやっていること、やっていくことの意味をしっかりと体でも頭でも、つかんだ上で生きていこうということで、あたりまえのことをあたりまえにやろうとしていることで、それがなかなか大変でしかし基本かも知れない。そして、たいがいないがしろになっていることかもしれない。
恋愛も出てきて、というか多くの読者にとって「恋愛マンガ」だろう・・・いまどきの感覚からすると不器用なひとばかりのようなのだが、それは本当に不器用なのか、これが、現実に立ち向かう唯一の道じゃないか、なんて思ったがおおげさか。
美術を巡る世界の描写も、私自身が良く知っているわけではないので自信を持っては言えないが、こんな世界があるだろう、と、リアリティをもって読めるようになっていると思う。美術界が単なる閉じたコミューンのようなところではなく、現実と関わっているところも、おかしな話しになってはいないだろう。ギャグにはなっているけれど。
美術をやってきて、悪くなかった、などとも思わせてもらった。もらっている。
アニメ化されて、もうすぐテレビの深夜で放映になるはず。ちょっとこわいが、見てみたいな。