「キャラ者」

キャラ者 1 (アクションコミックス)

昨日（日付上はおととい）は吉田戦車をほめましたが、ギャグマンガといえば昔からリスペクトしていたギャグ漫画家が今も何とか活動していて、それがうれしくてしょうがない作家がいる。その名は江口寿史。・・・おおげさな。
今「何とか活動している」などと書いてしまったけれども最新作「キャラ者」は、私は江口寿史の最高傑作だと思っているのだ。実は、「すすめ！！パイレーツ」はほとんど読んでいない。私にとつて江口寿史は「ストップ！！ひばりくん！」だった。
実は江口寿史の絵はもちろん嫌いではないけれどそれほど独創的とは思えなかった。実はもちろん充分独創的なのだが・・・独創的と言うよりは個性的？うーん。難しいな・・・。マンガの絵としては画期的でもイラストレーションとしては独創的ではないというか・・・。また、「ストップ！！ひばりくん！」の時点ではその絵のスタイルは完成を見ていない。
もちろんそんなことはそれほど問題ではなく（江口寿史さんには大問題だっただろう）、いま、私は「Dr.スランプ」というマンガのことをすっかり忘れていたことを急に思い出したどころか、この作者の名前もすぐに出てこなかったのだけれど、（私にとってはいまはこのひとは「ドラゴンクエスト」の人なせい・・・ネットで検索して思い出したのではない・・・）鳥山明の絵は完成したスタイルで描いていたような気がしていて、江口寿史氏はちょっと常に迷っていたような気もするのだ。それが、ようやく、迷いのない線、しかもいままでの延長のようでもありひとと似ているところもあるようでそのスタイルの洗練は前人未踏ともいえる境地に達したと私は思っている、それが「キャラ者」だ。
絵のスタイルのことを言うと江口寿史氏ともけっこう親しいような高野文子、きのうの岡崎京子や、内田春菊と、ちょっと通じる要素があるようで、ちがうな。大ブレイク中の羽海野チカや今の二ノ宮知子（以前はずいぶんダサイ絵だった様子）との共通性も感じる。が、こちらは江口寿史のほうが本家のような気もする。なんだか女性漫画家ばかりの名前が並んだな。
江口寿史の絵のスタイルのことを言うと、鳥山明と大友克洋をどこかでは意識していたに違いないとは思うが・・・。なんかつまらんことをつらつら書いているような気がしてきたな。
そして、「東京ガールズブラボー」の装幀を最高だと昨日書いたばかりだが、ごめん、最高は「キャラ者」。
ちょっと前衛的だが、ギャグも吉田戦車とでも互角だろう。そして、ほかに誰かいたっけ、しりあがり寿か、いがらしみきおか、なんていう最前線に、セールスを除いたなら、帰ってきた江口寿史。
売れてほしい！

・・・5年前の作品だったなんて、ショック。2巻は3年前で、アマゾンに画像がない。何やってんだアマゾン。しかし5年経っても最先端の作品だと、私は思っている。