「メヌエット」

「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」という曲集/楽譜がある。ピアノを弾けない私は最初の方の有名なふたつのメヌエットしか知らない。が、そのうちの長調の方はきっと誰でも知っているものすごく有名なメロディーだ。
3拍子のメヌエットを勝手に4拍子にして、「ラバーズコンチェルト」なんて題名をつけた犯人が誰か気になるが、それも元のメヌエットを連想しなければ耐えられるどころか、気持ちのいいメロディーだと思ってしまう。しかし関連を思い出すと、がっかりする。なんか、だいなしにされたような。
もとのメヌエットが、ものすごく好きな曲だからだ。


バッハの時代にコンサートはなかったはずだ。
彼が人前で弾いたのは教会と、宮廷と、あとは家族や知人の間でだろう。音楽のあり方に現代とは若干のちがいを感じる。このメヌエットを含む曲集は、「家族や知人の間」で、弾かれるためのもの、または、個人の楽しみのためにつかわれる曲だ。バッハが奥さんのために書いたのか、奥さんが写譜したものだったか忘れたが、息子の教育にも使われたかもしれない。


好きな曲なので、これをコンサートでプログラムに入れたら、どんなものと一緒に弾くといいだろうか考えてみたが、しっくりこない。プロならばいろいろ考え付くのだろうが。しかし私が未熟なだけではなく、コンサート向きと言うわけじゃないと言うことかもしれないとも、思った。
西洋の、クラシック音楽への複雑な思いのうち、好意的な感情の芯の方に、このメヌエットがある。音楽を楽しみたいなら、マーラーのシンフォニーの楽器の音を聞き分けるのもいいが、この楽譜を前にピアノに向かうことをお勧めしたい。


検索してみたが、楽譜のリンクは見つからなかった。音源ではこのレオンハルトのものが面白そうだ。キーボードだけの演奏ではないようだが、アマゾンで調べてみた解説では上記のメヌエットがあるかどうか分からないし、レオンハルトが弾いているのがなんなのかわからない。チェンバロだろうと思うが。機会があったら聞いてみたい。

バッハ : アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳より

バッハ : アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳より