「墨戯王べいふつ」

墨戯王べいふつ

墨戯王べいふつ

佐々木泉という人は全く知らない。うまいんだけど、なんともビッグコミックらしい無難な絵のマンガだな、ちょっと読むと、読みやすくて(たぶんコマ割等も)、なにか安心して読める。褒め言葉じゃない。いや、うまいな。悪くない。
全く失礼だが意外性がないといえばない。絵も、もう少し下手な方が面白いくらい。この絵柄は何だろう。似ている人を思い出そうとしたが、思い出せない。細野不二彦?似ていると言うほどではない。案外劇画の流れを感じないでもないし、少女マンガの流れも感じる。私の出鱈目な勘では。キャラクターの微妙な描き分けのうまさ。様々な微妙な表現のうまさ。隙のなさ。ただ、ちょっと見に個性を感じないのは残念。しかし、よく見る(読む)となかなかいいのだ。
話しも含め、破綻がない。コマや絵やセリフの力学が、無駄なく機能している。褒めてはいるが、その点では逆に面白くない。読む人も、読み流してしまうだろう。
題材が中国芸術史。いや、面白いね。これは受けないだろうが、面白い。受けない題材を、ここまで料理した手腕もさすが。でも、やっぱり地味だな。なんでだろう。
でも、それでも好きだ。聞き流してしまいそうだけれど、しっかりしている楽器の演奏、良く聴くほどにその誠実さに惹かれるような。構成がしっかりしているモーツァルトの曲のような。むしろビバルディ?中島敦を軽妙にしたような?褒めすぎ?というか、貶しすぎ?というか、見当はずれ?
いや、面白かった。読後感もいい。

佐々木泉さん、この作品しかネットで見つけられなかった。新人か。こんな評でごめんなさい。頑張って欲しい。
・・・ちょっと調べたらダヴィンチ別冊の三国志のやつで時々書いているらしい。そのうち本になるな。買おう。はてなでは悪い評判なし。ただし、歴史好きで、かつマンガも好きなひとが多そう。しかも評判そのものが少ない。でも頑張って欲しい・・・。
応援の意味で佐々木泉さんのサイト「MOOR」。こちら。勝手にリンクして怒られません様。
http://moor.nobody.jp/