「銀河鉄道999」

先日古本屋でこの小学館版のシリーズが、とびとびだけれどずらっと並んでいて、1巻があったのでつい買ってしまった。失敗。


思ったよりずっと面白い。「バルバラ異界」について書いた次に、想像力と理性のせめぎあいの結晶体・・・精密機械のような「バルバラ異界」の次に、このでたらめな想像力の発露の暴走のような、とマンガの古典作品について書く自分が、ちょっと支離滅裂に思えても来るが。


私も「宇宙戦艦ヤマト」を固唾を呑んで見ていた。「銀河鉄道999」のテレビシリーズは、まるでNHKの朝のテレビ小説をどの家庭でも当然見るように見ていた。マンガ原作があることさえ考えず・・・これは原作なのか、それともメディアミックスのような企画だったのか、「宇宙戦艦ヤマト」が、そんなもののさきがけだったような気がするが、そういえばそれも何となくそう思っているだけだ。97年刊行のこのコミックスには資料的な内容はない。昭和53年の小学館漫画賞を受賞したらしいが、その頃アニメももうできていなかったっけ。


松本零士氏がマンガ家であるということを、もちろん知っていたが、その作品を読むということは考えたこともなかった。実はつい最近で、どちらかというと、ユニークな絵のためにそう思ったのだった。いや、マンガ家としてはたとえば「大四畳半」などの作者だと思っていた。そういうものはけっこう好きだった。ええと、もっと有名な四畳半ものがあったような。でも、それも昔のことだ。最近読むようになったきっかけは「ニーベルングの指輪」。悪くないと、思いながら、見つけたら買うつもりでいる。古いものも、ちょっと読んでみようか、とは思っていたところに見つけた「999」。


しかし、ひどく暗い話しばかりだ。ステレオタイプな発想が満載、と、いうとバカにしていると思われそうだがそうではない。ステレオタイプなのは、なんというか、倫理的な要素で、着想は奇想天外。いや、「ステレオタイプな倫理的な要素」って、最悪なようだが、なんだ、なにを書いているのか。・・・とにかく、こんなに面白かったとはびっくり。


失敗だったのは、古本屋にずらっと並んでいるのに、今は買うのを我慢するしかない、その理由が、とびとびに揃っているものを買うような辛抱強さが今の私にはなく、かといって「999」中心の古本屋まわりをするヒマも無いからだ。3巻まで、いや2巻まででもあそこにあればなあ。そこで一旦我慢するのに。・・・という状態がイライラするから・・・。