「アフタヌーン四季賞クロニクル」

買ってしまった。なけなしの6,600円(本体+税+送料)をはたいて。といっても「蟲師」の6巻に出ていた広告を見て予約したのは7月か8月だったが。9月の予定がおくれて10月20日近くに届いた。代引。内心びびりながら支払。


これに掲載される受賞者たちの名前に目が眩んだ。
「モーニング」「スピリッツ」をずっと買っていて、その頃はマンガさえ読めればいいといったところもあって、くまなく読んでいた覚えがある。その後、金銭的理由でやめたのだが、今の古本屋通いの方がお金も使っていて、それ以上に読む時間も浪費することになってしまっている。
当時の「モーニング」誌で活躍していた人の中で、姉妹紙である「アフタヌーン」の四季賞受賞者が多いのはそれなりに当然だが、「スピリッツ」やビッグコミック系で連載してきた人にも多く、一時期講談社小学館の青年誌以外のマンガをほとんど読まなかったわたしにとって、なじみ深い名前が多い。しかも、数多くの作家の中でも、特に注目してきたひとが多く含まれている。
また、そのうち雑誌でマンガを読むことはなくなったのだが、しばらくして再びマンガ中毒になってしまうきっかけだった黒田硫黄など、自分より若い世代からこんな面白い作品が生まれていたのか、と驚かせてくれた作家たちの大部分の名前もまたここにあった。


で、そうした作家の処女作または、それに近い作品が大量に掲載されているのだが、大賞受賞作を集めたのではなく、現役でマンガ家を続けている作家の作品をあつめたのであって、あまり上の方でない賞の受賞作もある。ここに掲載されていない上位入賞者も多数いて、なんというか、そういう莫大な蓄積の中からこういうキラキラした才能が育ってきたのだなと、感慨深くもある。
作品の面白さについて言えば、その後の傑作に及ぶものがあるとは思えないので、最良の作品群だけを読みたい人には全くお薦めできない。ただ、気に入った作品があると、その作家の他の作品も今までより面白く思えてくる私には気にならない。インタビューも、どちらかというとひどい内容のものが多い。しかしそれが生々しくもあり、創作の秘密に近づくドキュメンタリーの資料のようで、私には面白かった。