「パーム」

パーム (27) 午前の光 (1) (ウィングス・コミックス)

パーム (27) 午前の光 (1) (ウィングス・コミックス)

新しいシリーズ(第8話「午前の光」)が始まっていて、その第一弾コミックがとっくに出ていたのを知らなかった。「愛でなく」が終わってずいぶん経つので、終わってしまったかと思っていた。つい先日書店でコミックを見かけた。今年の春には出ていたらしい。それなのに今まで知らないでいた。ショックだ。
4年ぶりか。
新作を堪能したついでに第6話「オールスター★プロジェクト」の全4巻を、読み返してみた。
第7話「愛でなく」の全12巻を、コミックが出るたびに読んでいった長い間にすっかり忘れていたが、この、日本風に言うと大河物語(?)「パーム」、10話で完結の予定だというのが「オールスター★プロジェクト」1巻の前書きに書いてある・・・忘れていた。忘れていたせいで、「愛でなく」で、終わっていたのだと思っていた。他で連載していたようだし。この章を含めて、あと3章(3話)で完結なんだな。しかし、いつになるだろうか。


こんな作品を描き続ける気持ちはいったいどんなものなのだろう。登場人物の物語は、すでに決まっていて、その未来の断片が進行中の話しの中にもところどころはさみ込まれている。結末は決まっているのだ。どうやら実在の人物と変わらないか、それ以上の存在感をもって生ききってしまった人たちが存在しているかのようだ。そのひとたちの思い出をドキュメンタリー形式で描いているような感覚がある。サリンジャーの一連の作品をちょっと思い出させるが、今ではそれよりこちらのほうが好きだ。時系列の交錯の仕方ではカート・ヴォネガットを思い出せるかも知れない。このふたりの名前は作中にも出てくるのだが。


さて、新刊は抱腹絶倒。ソープオペラのようにも読める。私がシリーズのファンで、登場人物が実在の人物のように顔なじみに思えるからだろう。そんな感覚になれたことが不思議なくらい久しぶりに読んだのだが、旧友に会うような感じだ。連中は相変わらずだ。


マンガ評論がかまびすしいが、この作品は忘れられている。私も忘れていた。読み返してついに気付いてしまったのだが、どうやらこれが私の考え方に最も影響を与えている書物だ。
それが現在進行形で続いているので、私もしばらく現役で行こうと思う。