「やさしいからだ」2

やさしいからだ 3 (ビームコミックス)

やさしいからだ 3 (ビームコミックス)

「2」というのはこのブログの中で取り上げるのが2度目ということで、出たのは3巻、とか、わざわざ断ることもないかとは思うが。

これは、すごい。すごいが、いいものなのか、どうか、また、好きになれるのかどうか、微妙だ。表紙はやっぱり積極的に嫌いだ。この色調とペンタッチの組み合わせが嫌だ。デザイナーの仕事としては優れているのかもしれないが、中を開くと肩すかしをされたような感じがするし、何か納得がいかない感じがただよう。表紙の絵柄をよく見直すと、生々しい内容と矛盾しないとは思うのだけれど、いやでもこの色調はぎりぎり甘く生やさしい感じを醸し出していて、嫌だ。そのうえにタイトルが「やさしいからだ」だからな。タイトルも嫌いだ。
が、すごい。好きかどうかとか言う問題ではなく、これは、評価せねばと思う。ここまでやっちゃっていいのだ、と、頭の中が開けていく。いやしかし、これはそもそも実務型のつまらない人間なのに感受性を大切にする表現の世界に20年とか言う私という特殊なタイプの評価かも知れず、ある意味、こんなふうに想像力が展開していくこと、世界に対して感じ取ることは、そんな、不思議なことではないのかも知れないとも、思いはするが、しかしこんなふうに鮮烈にしっかりとした形を取ったことが、マンガであったか、などとも思い、それには、あったと答える人がいるだろうし、私自身も高野文子の、特に初期の作品を思い出したりはするのだけれど、でもなあ、なんだろう。高野文子のようにはスマートではないというか、高野文子もスマートだったかどうか、今そう思うだけなのかも知れないが・・・。
絵柄が、なんかどこかで見たけれど思い出せないような感じの絵だ。よく見ていくと、表現力が的確なのがわかるが、何か個性が乏しい感じがする。絵として下手ではない、レベルがすごく高いのだけれど、うまい、という感じを抱かせない。「独特のスタイル」というような一貫性が・・・ないというと、悪口のようだな。手癖があまり感じられない。絵画的でも、映像的でも、あるようで、どちらでもなさそうでもある。・・・私はたいしたマンガ読みではないなとも思う。
とまれ、また、この人の作品が出たら読もう。