「ハツカネズミの時間」2

ハツカネズミの時間(2) (アフタヌーンKC)

ハツカネズミの時間(2) (アフタヌーンKC)

2巻が出ていたのですぐ買って読んだ。
冬目景というひとが、少しわかってきたかも知れない。あとがきを読んで、とても「わかるなあ」と、思った。


このマンガ、テーマというか、基本アイデアが優れていると思う。記憶というものがひとにとっていかに切実に大切か、すごくよく浮かび上がらせてくれる。
ただし、そのアイデアをふくらませるうえで、未消化な部分は多々ある。
たとえば心理学や大脳生理学とかいうことや、薬学などの資料をどれ程読んだだろうこのひとは、と、それぞれにくわしくない私でさえちょっと思う。むかしのSFの、中途半端なアイデアの悪さ。でも案外良さも併せ持ってはいるかもしれないけれど。
登場人物の行動は、ストーリーの都合で決まってしまっている感じが否めない。ストーリーのためにキャラクターが用意されている感じ。古典的だな。
絵についてだけれど、新しいタイプのアイデアに挑戦している、また、キャラクターも今までにないタイプだとあとがきに書いているのに、ほとんどがいままでのマンガのキャラクターと同じような風貌で、同じような表情しかしていない。


しかし、それらを差し引いても魅力的。
冬目景というひとがわかるなあ、というのは、アイデア、構想、それはことばにならないかもしれないけれど、それを大切にする人なのだな、ということ。けっこう作品毎に違う感じがする。もうひとつは、いままでにない産みの苦しみのようなものが、作品に表れていて、あとがきの文で書かれていて、「そうだろうなあ」と、おもえたこと。その苦しみがあたらしいものを生み出しているのが感じられること。
支持します。