「働きマン」

働きマン(3) (モーニング KC)

働きマン(3) (モーニング KC)

最近は安野モヨコさんに凝っている。その前は星里もちるさん。竹本泉さんなど。共通点は何か。BookOff等で安めで入手しやすいのに面白いから。ごめんなさい。

この「働きマン」も2巻まで古本で買った。しかし今「古本」って、言葉のイメージに合わないな。買った本をすぐ売っちゃうからね。新しい中古本。
安野モヨコさんでは「ハッピー・マニア」がもうすぐ揃いそう。ずっと前に1巻だけ買って続きはいいやと思っていたのか、本棚にあって忘れていたのを読み返したら案外いい。
以前は内田春菊さんはかなり好きだったが今はどうも駄目だ。ちなみに好きな内田作品は「南くんの恋人」だっけ。あと、ご本人は嫌いなはずの「クマクスのミナカテラ」だっけ。岡崎京子さんは作品によってはかなり好きで、これからも未読のものを少しずつ、読むことがあると思う。桜沢エリカさんはどうも読めない。というか、買うことに踏み切れない。などということをなぜここに書いているかというと、安野モヨコ作品が売れはじめた頃、ちらっと見て「このへん」に似ていると思ったので。絵が。内容は、スタイルは似ていても、なんというか「どうしようもなさ」といった部分がないか、「どうしようもないことが逆転してプラスになってしまう」ところが違うのかな。「ハッピー・マニア」では深みのなさのようでもあったようだけれど、読み返すと案外いいな。何冊でもさっと読める。実は気持ちいい。

働きマン」3巻は新刊で買った。これからも新刊ですぐ買うぞ。
ハッピー・マニア」とは逆にじっくり読める。話の密度、情報量はページあたり何倍か。描かれている部分の情報のみならず、「ギョーカイ」の話なのだけれど、その世界のひろがりが感じられる。絵もうまくなったな。絵のタイプは同じだけれど、表現力は進化している。
でも「ハッピー・マニア」も、若いモンの世界の広がりが感じられるな、そういえば。


いちおう既読の安野作品では「働きマン」がベスト。
「ギョーカイ」なんぞが偉いと思わないが、「ギョーカイ」で作られた物にかこまれて生きているんだなオレ達。「ギョーカイ」から伝わる話をたよりに生きている。と、いうことまで考えることはないんだが、そこまで考えるとさらにすごいぞと思う「働きマン」。
ふと、ゆうきまさみ氏の「じゃじゃ馬グルーミングアップ」と比較したくなった。それぞれちがった「ギョーカイ」をどちらも巧みに描いているからなのだけれど、題材となった「ギョーカイ」の違いが作品のスタイルにすら影響しているのか、なんて思ったのだ。
常にドラマチック、ダイナミックな「ギョーカイ」と、静かな「ケ」の日常の中にドラマチック、ダイナミックな「ハレ」がある「ギョーカイ」、ふつうなのは後者、「じゃじゃ馬グルーミングアップ」の描く日常だなと思ったのだけれど、違う。実は「働きマン」の日常のほうが現代日本の標準的な日常を映し出している。いや、「じゃじゃ馬グルーミングアップ」のほうも、イメージ上は現代的ではないが紛れもなく現代日本の標準的なある種の日常。
マスコミに近すぎるためと、地味すぎるため、どちらもマスコミの死角にある部分を、全く違ったスタイルで見事に描いた傑作。スタイルで言えば、「じゃじゃ馬グルーミングアップ」が小津とすれば「働きマン」は黒澤か、なんて・・・。