「狂乱星雲記」

ネオ・アズマニア (2) (ハヤカワコミック文庫 (JA873))

ネオ・アズマニア (2) (ハヤカワコミック文庫 (JA873))

傑作。
上の文庫に入ってます。このころは絶頂期だったと、冗談交じりにあとがきで書いていらっしゃる。この作品は絶賛されたとも。そうでありましょうとも。読んで絶句した。
マンガの歴史をしっかりフォローしたいファンの方、「不条理日記」「失踪日記」だけでなくこちらも読んでほしい。また、内田百間(当て字)やつげ義春の夢っぽいものが好きでSFが嫌いではない人におすすめ、かつそれらともかなり違う。
とにかく、吾妻さんが伝説化されるのが、完璧に納得できた。「失踪日記」が新たな伝説(事実だが)をつくったのだけれど、この絶頂期の輝かしいこと。ギャグというかSFというか、つまりマンガにおけるフィクションの可能性を極限まで追求しているというか。


吾妻ひでおさんについては、なんとなく気になっていて、ときどきチェックしていた。もともとの記憶では「チョッキン」とか、「ふたりと5人」といった作品のなにかぼんやりとした独特の印象があるのみだった。それ以来忘れていたが、それでもマンガを読みながら生きてくると、この名前が気になってきて、「不条理日記」あたりを読んだりしていた。これは星雲賞を取ったのだな。その後「失踪日記」を読んで愕然とし、「うつうつひでお日記」ですっかりファンになってしまっていたが、ここまで面白いものがあったとは・・・。
こういうものを読むと、いままで、面白いことは面白いがまあまあかな、と、思っていたものまでどんどん面白くなる。どういうことだ。「うつうつひでお日記」なんかつい開いてしまって、ちょっと読み返してみたら止まらなくなって困る。