「オクタゴニアン」

オクタゴニアン (1) (カドカワコミックスAエース)

オクタゴニアン (1) (カドカワコミックスAエース)

おたく的な評論家と言えば岡田斗司夫なのだろうか。しかしまた、言論界(?)においておたく的な存在感を示している人に大塚英志なんという人がいて、言論界とかに存在感を示す前から名前は知っていた。いちおう「おたくかな」という所以でもある。
最近この人の存在に触れたのは吾妻ひでおさん再発見(?)のあたりに名前が見えると言うことであって、吾妻ひでおさんの日記類マンガ著作にもご本人が登場する。「新現実」なるコミック誌(?)も妙な存在感で、この雑誌でも吾妻ひでおさんに関わっていて、バックナンバーを見るとみなもと太郎氏の名前があったりこれは今更買っておきたかったように思えるが金もなかった。
評論としては「たそがれ時に見つけたもの?「りぼん」のふろくとその時代」とかを読んだような気もする。たしかあさま山荘事件連合赤軍メンバーにも言及するなど、ものものしいところがあると思った。しかし私に欠けている情報を提供してくれるありがたい存在のようにも感じている。宮台真司にも似たようなものを感じる。??


このひとがマンガ原作などをやっていることも、しばらく前から知っていたが、どうも読む気にならなかった。組んでいる絵師の絵がいまひとつ気に入らないことが多いのと、パラパラめくってホラーのような絵が見えると、ダメなものでもあった。
この度の杉浦守さんという絵師の方の絵は嫌いではない。押井守と組んだマンガを読んだときは、独特の雰囲気は捨てがたいと思った。若干読みにくいような気はするが。ただしかし、押井守の絵に似ている部分がある気がして、これは逆に押井の影響力の強さかもしれないとも思う。押井守は絵を描くのであって、「うる星やつら」のアニメにはどうも強烈に癖のある押井の絵柄の癖が、おそらくコンテをとおして出てしまったのではないかと思うが、全然別の話で、かつ、どうでもいいような話しか。


なんだか忘れられた昭和史、明治・大正史といったようなものが妙にアンテナに引っかかってきて、そういうものがなんらかの水深でうごめいているものかも知れないと思うが、これもそのひとつかもしれない。
昭和天皇(らしきひとなのか?)を主人公にしたロシアのソクーロフ監督の映画「太陽」なども見てしまって、今またこんなマンガを読むのか、とも思ったが、読むのだ。表紙もちょっと素敵だ。
昭和天皇(らしきひとなのか?)の影武者が主役のひとり。タイトルは占領軍GHQに接収された特別な軍用列車の、実在する名のようだ。共産党やら、スパイやら、東条英機やら、戦後たくさん出てきた自称天皇などが出てくる。難しそうな題材をならべ、やはり私に欠けている情報を提供してくれるが、果たしてこの、著者の「オレの手並みはどうだ」と、言わんばかりのところが鼻につくものでもある。
面白いとも言えるが、味わい深い絵で描かれていたって、俺はだまされないぞと言う気持ちで読み進めてしまうが、面白いことは面白い。フィクションとしてこれといった技術が見えるものでもない気はするが・・・。


上述した「新現実」誌に連載されたもののようだ。