「鉄腕バーディー」4

鉄腕バーディー 14 (ヤングサンデーコミックス)

鉄腕バーディー 14 (ヤングサンデーコミックス)

鉄腕バーディー 15 (ヤングサンデーコミックス)

鉄腕バーディー 15 (ヤングサンデーコミックス)

帯に安彦良和氏が「天才・ゆうきまさみ」と書いていて、同感するしかない。
鉄腕バーディー」について去年に書いたときは過去の内容が多い「人形の記憶」12、13の、2巻分を圧倒的に感じたばかりだったのだが、その2巻の前、11巻から、現在進行の話に戻った今回までの「月下の騎士」2巻、14、15巻をざっと読み返してみて・・・なんという構想力か、と、目が眩むような思いがした。


テロリズムを扱っている。恐怖政治としてのそれではなく、いまの地球でよくある、なんていうのかな。暴力による恐怖を利用して政治主張を実現しようとする類のもの。
そういう現実のテロリズムから想像できるようなリアリティーを、宇宙社会の設定の中で見事に展開できている。そういう空想世界設定の中であるのに、そうだからこそなのか、われら人間と変わらぬ、あるいはそれ以上に「人間らしい」感受性が見事に息づいている。
現実に私たちが報道で接する「テロリズム」や、報道で断片的に接しはするもののそのディテールをほとんど知らないテロをするひとたち、それと対峙するひとたち、まきこまれるひとたち、それを取り巻く状況・・・などのエッセンスは、もしかしたら空想の、こんな設定でこそ表現されうるのではないか、フィクションの力だ、なんて・・・。
それよりもなによりも精緻なマンガ表現に瞠目するばかり・・・。


リアリティーがないのは、奇妙な事件が頻出している状態に、現代地球の登場人物たちの反応がいかにものどかだったりする点で、しかし、これはあまり気にならない。
とりあえず、少なくとも「AKIRA」は超えたかな、「ナウシカ」はどうかな・・・。