「エスパー魔美」

エスパー魔美〔小学館コロコロ文庫〕 (1)

エスパー魔美〔小学館コロコロ文庫〕 (1)

藤子・F・不二雄さんの作品をまとめて読んだのはこれが初めてではないか。と、読み始めてから気付いた。
藤子不二雄作品をマンガとして読んだものでは、最も最初の記憶が「魔太郎がくる!!」で、小学校低学年の頃、いとこの家でだった。その同じいとこの家では手塚治虫の「三つ目がとおる」と、もしかしたら「ブラック・ジャック」も読んだかも知れない。別のいとこの家では横山光輝の「仮面の忍者 赤影」と、石森章太郎の「サイボーグ009」を・・・閑話休題
次に読んだのは今度は小学校高学年。たしか学校にマンガを持ってきていいということだったのか、「プロゴルファー猿」を読んだ。最近は「まんが道」。ずっとあとにまで気付かなかったのだが、「魔太郎がくる!!」も、「プロゴルファー猿」も藤子不二雄(A)氏の方の作品だ。
なんにしても藤子・F・不二雄作品はアニメ化されたものを見るばかりだった。一度「オバケのQ太郎」のマンガを読んだことがあるのを何となく覚えている他にはない。インスタントラーメンを風呂桶の中で作るというオチが思い出されるが・・・。
アニメには特別に思い入れがあるというほどではないものの、すごいなと思っていたこともあるし、芝山努監督の「ドラえもん」の、特に長編映画の、のびやかな感じを時々思い出さなくもない。「キテレツ大百科」などもきらいではない。しかしとにかくマンガで読んだ覚えがない・・・。


誰のインタビューだったろうか、マンガ家か、それともロックミュージシャンだったか、あるいは記憶がごっちゃになっているか・・・マンガとして「ドラえもん」や、特に「エスパー魔美」を読んだ記憶を大切にしているようなのだ。「エスパー魔美」は、アニメ化もされているだろうけれど、これはマンガの方が有名な珍しい作品だ。もしかしたら主人公の魔美がヌードモデルで裸になるシーンがあるからアニメ化されなかったのか、しかし、内容はほぼ子供向けで・・・。
たまたまこの文庫版の1巻を買ったときに、よしもとばなな氏のエッセイ集(?)もたまたま一緒に買ったのだが、偶然「エスパー魔美」について書かれていて、マンガ家の、特に男の人は藤子不二雄作品では「エスパー魔美」を最も好きな作品に挙げることが多いということが書いてあった。なるほど・・・。


多くの方がご存じのように極めて簡潔な表現で物語(?)は語られる。日常に非日常要素が入り込むが、登場人物、主役やそれに近い人たちは日常の感覚を決して失わない。この透明な感性・・・と、ばななさんが書いていたような、また違ったような気もするが・・・は、ふつうのことでもあるのだが、記憶に、心に?染み渡るように作用した。
あたりまえの暮らしが実は最もドラマチックなのか。