「サナギさん」2

サナギさん 3 (少年チャンピオン・コミックス)

サナギさん 3 (少年チャンピオン・コミックス)

2年前に「サナギさん」を読み始め、2巻は買ったのだけれど3巻は忘れていた。これ以外に「少年マンガ」は買わないので新刊が出ても気付きにくかった。4巻が出ていて先に買ってしまった。3巻を売っている店を探して手に入れ、読み終え(この巻で連載100回を過ぎた)、4巻に入ったところ。
全然テンションが落ちない、と、思う。すごい。「がんばれ酢めし疑獄!!」の何でもありからある種ストイック、コンセプチュアル(なんのこっちゃ)になった「サナギさん」の、そのコンセプトの優れたところを証明し続けているようだ。私たちの「言葉を基本にした思考、コミュニケーション」の曖昧さ、出鱈目さを衝いていることの心地よさ、か、と、思ったがなんか的が外れているような気もするが。

ギャグマンガはすごいと思う。ストーリーマンガも好きだがそれは普通に好きなのだ。ギャグマンガをすごいと思うことは、私が人を笑わせるのがあまり得意ではないことと関係があるかもしれない。尊敬の念のレベルが高い。ただ、4コママンガは私にとってはちょっと格が落ちる。いしいひさいち、そしていがらしみきお吉田戦車の存在を考えてもなお。
そしていまだに私にとってのギャグマンガの金字塔は「マカロニほうれん荘」と「ストップ!!ひばりくん!」だ。これらはストーリー性がそれ以前の「天才バカボン」などよりもあり、そのストーリーが完成度を持ちうる、予定調和を生みだしうる故の、それが崩れた時の破壊力がすごい、と思うのだ。

で、「サナギさん」は、「4コママンガ」の頂点を「ぼのぼの」と並んで(私の中で)極めつつある。「マカロニほうれん荘」と「ストップ!!ひばりくん!」には(私の中で)及ばないにしても「じゃりン子チエ」「ぼのぼの」に並び「団地ともお」に迫り、「私のお笑い系マンガフェバリッツ」上位を争いはじめた。

なにを書いているのか・・・「サナギさん」の実態は破壊力を行使したままひたすら可愛いままだという子供原理にささえられつつ、児童虐待の親的にそれが憎くてしょうがない方向へひっくり返る要素を徹底的に排除しているかのような超平和安全マンガのようでありつつ、しかし死を忘れない、死に近いことも案外子供的だったり、また作者の言葉が案外暗い灰色の響きを見せつつマンガ以外のページにたたずんでいたりするのもちょっとしたスパイスだったり、さらに何を書いているのかわからんがそういう。

※「はまぞう」の検索先に4巻の画像がないので3巻をアップしました。