「1・2・3と4・5・ロク」

古本屋で買った文庫版1冊だけ読んだ。
この1冊分は、1962年の1年間に「少女クラブ」という雑誌に連載されたものらしい。それは私が生まれる4年も前だ。いつか子ども向けテレビドラマになったような気がするが、どうだろう。

なんとなくだけれど、夏目漱石の「坊ちゃん」(筋は忘れたけれど)とか、壺井栄の、というよりは映画の「二十四の瞳」(そもそも筋は知らないけれど)あたりを連想させる・・・。というよりは、昔のTBSあたりのテレビのホームドラマ、あの監督さん、なんと言ったかな、石井ふく子さんというプロデューサーの方のだったか・・・そんなのを思い出すけれど、でも「1・2・3と4・5・ロク」の舞台背景は、これは正しく1960年代の団地じゃないか。

マンガで、「団地」というと、現在「団地ともお」以外思い浮かびようもない。しかし実際には私のこの街にも高層住宅やら、3、4、5階建ての団地はけっこうある。アパートとかマンションとかいうイメージではない、「公団」とか呼ばれそうな。しかし「団地ともお」以外は、もうあんまりそんなものを取りあげたりしないな。などと考えたけれど、「1・2・3と4・5・ロク」でも団地が「ともお」ほどクローズアップされているわけでもないか、ないな。

ちばてつやさんは「あしたのジョー」で知られているがこれは原作付。これを除くと「ハリスの旋風」「おれは鉄平」、あと「のたり松太郎」「あした天気になあれ」あたりが知られているかな。「おれは鉄平」読みたいな。

「1・2・3と4・5・ロク」、なんとなく亡くなったちばあきおさんを連想させるかもしれない。少女誌に連載されたせいか優しい感じ。そして、起こる事々、なにかひしひしと現実味を感じさせる。今はこんな事はないけどな。いや、本当にどこにもないわけではないが、昔とくらべると、どうしても少ない感じの、感情の発露・・・でも今も子供達はこれに近い感覚を、大人達がここに出てくる登場人物と現在では違っているほどには変わらず、感じているだろうか。

とにかく、まじめすぎる感じの、淡々とした描写が存在感を伴って迫ってくる。