バッハ「ゴールトベルク変奏曲」2
- 作者: 高橋悠治
- 出版社/メーカー: 全音楽譜出版社
- 発売日: 2009/01/08
- メディア: 楽譜
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楽譜を買ってしまった。
カークパトリックの解説が付いた全音版。星が6つ付いている。
自分であんまり優秀だと思っていない音楽科の学生だと、好きでも恥ずかしくて買えなかったりするのかも知れない。
上に挙げたのは「ベーレンライター原典版」だけれど私の買ったのは違うもの。
マンドセロで上声部をなぞったり、低音部をふつうに弾いたり。
至福の音。
音は半分頭の中で鳴っているようなものなので、自分の下手さ加減は気にならない。
名手のすばらしい演奏を聞く方がいいだろうとも思える。
生演奏なら全くその通り。
しかし、録音を聞くと、同じものを何度も聞くことができること、全く同じことがくり返されるということが不自然でつらい。
楽譜をなぞることの面白さ。こんな大曲のほんの一部でも再現できること、自分の手の動きにともなって美しい細部が現れてくる。出てきた音が少し壊れていても、音楽と言うものは細部から全体まで関連性を持っていて、その美しいシルエットを思い浮かべることができる。
とか言っても、その全体像は録音されたものを何度も聞いたから思い浮かべられるわけだけれど。
この変奏曲、あまりに巨大で、そうではないと思っていたが、これもパッサカリアだそうだ。
シャコンヌ、パッサカリア、三拍子系統の、低音の進行をくり返すタイプの変奏曲。
これらに好きな曲が多い。
バッハでは無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番のシャコンヌがあまりに有名。
あと、ブラームスの交響曲第4番の終楽章のパッサカリア。
ウェーベルンの若い頃のオーケストラのためのパッサカリア。
変奏曲というものではほかにモーツァルトのトルコ行進曲付きのピアノソナタの1楽章とか、変わったものではジェフスキー・・・まだ生きているだろうか・・・の「不屈の民」変奏曲・・・とかも好きだ。
若い頃にはそれほど好きではなかった変奏曲というものがより好きになってきたのは、時につまづく長い人生のように感じられて面白くなってきているのだろうか、と、思うが、わからない。
それにしても最初と最後のアリアの美しさ。装飾音が多くてなかなか弾けないものの、それでもうっとりしてしまう。最後に同じ曲をくり返すのは、私は他には良く知らないが、変奏曲でよくあるのだろうか。あるいは伝説のように伯爵の不眠を解消するため、入眠へと導くために静かに終わるのだろうか。