「ナツノクモ」
- 作者: 篠房六郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/05/30
- メディア: コミック
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- 作者: 篠房六郎
- 出版社/メーカー: 小学館
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やっぱりわかりにくいよなあ。
この度完結巻を読んで「ああ、そういうわけだったのか」その後全巻読み返してみて初めてわかった部分も多い。読み返してみると、最初より面白い。それにしても、6巻はどこへ行ったんだ。
すべては・・・いやほとんどはオンラインゲーム上のできごとのみで進む物語り、そのためのややこしさはこの作家の前作「空談師」と、同じだけれど、さらに、この「ナツノクモ」では、心に深い傷を負った人たちがそのオンラインゲームの中でグループカウンセリングをやるというちょっとむずかしすぎる設定で、オフとのかかわりがオンの側からちょっと見えるだけ・・・しかも最後の方に、という・・・でもまあ問題はオンの世界で起きている事だから、とか・・・?・・・なんだっけ・・・最近は記憶力が・・・いや、思考力か。
その、カウンセリングというむづかしいことのために、大変な事態になるというか、最初からすでになっているというか、物語は出来事が起こった時系列に沿って語られるわけでなく、ずいぶん前後入れ替えられずらされているというか、今「空談師」の方を読んでいたら、そちらはどうもちゃんと時系列に沿っているが、そういう・・・。
バーチャル世界と言っても実際にどこかに生きている人間が言葉をかわす、さらにある程度の表情も持つし、人間関係はオフほどの重さ、決定的なことはないようだけれど、ある意味言葉はオフ以上に注意深く使わないとならない違った重さを持つ。あと、表現とは、ロールプレイングとは・・・。
とかいう中にアクション映画的な、あるいは映画の「スティング」的な面白さがあって、それが最終巻はじめまでちょっと盛り上がっていた気もするのだが、それがちょっと中途半端なところに本筋のまとめがたたみかけるように現れて、それはあらかじめのプロットだったのであろうし、それは良く出来ているんだけれど性急な感じもして、ちょっとおしいかな、もう少し楽しみたかったという感じもある。
今「空談師」も読み返してしまったんだが、この作者、実はひとがいいのではないか。ていうか、ある種の大団円、救済をつくっているというか・・・ぶっちゃけ「テーマは愛、そして家族」なんじゃないかと思ったが、もしかしたらそんなものを追求して逆にドロドロ、グチャグチャになると言うのはこの世の定めなのか。と、いってもフィクション、ちょっとメタフィクションかかったバーチャルな、ややこしい話の中での事だが。
けっこう好きだ。が、たいして話題にもなっていないのかな。ある意味オタクの王道かと思ったが、実際は全然そうではないんだろうな。