20世紀の音楽 3

もうひとつ、クラシック音楽というものはなんだ、と、いうことがある。
宮廷と教会、あとは歌劇場が音楽家の仕事場、コンサートホールというものはなかったのが、モーツァルトの頃に出てきたのだったか。いや、ハイドンか。あの、交響曲というものがあやしい。
ほかに、辻音楽士というようなひとはいたのだろう。
ルネサンス以前に遡るとなにか世俗曲のようなものがあり、ロマン派になると歌曲があり、それぞれ路上と、ご家庭という場所の違い、聴く人の豊かさの違いはあるが作曲家はもっともらしい立派な音楽と同じ人が、つくっている。
コンサートホールができたころの作曲家はそこを主な仕事場にしていて、楽器の普及とともに楽譜がひろまり(印刷技術はいつだったか)家庭でも立派な作曲家先生の音楽を楽しむようになったようでもあり、今もその構造は存在していて、それらはクラシックといわれている。


今のポピュラー音楽というもの、コンサートホールでも、ラジオやテレビでもやる。クラシックも実は同じ。
20世紀の最も有名な作曲家がレノン=マッカートニーではないか、ということもできないか。後世から振り返るようになったときにはどうだろう。案外ジョビンやピアソラなんていう人が並んで思い出されたりするかもしれないが。


今ではポピュラー音楽は世界中でクラシック音楽の何倍もの人たちが関わってつくられ、放送ではクラシックなどの何倍も放送され、聴く人の割合はさらに大きい。
これが音楽の民主化。か? あるいは、音楽のグローバリゼーション。か、画一化、か。
世界各地の各々のポピュラー音楽には基本的に西洋古典音楽のカデンツを想定した音韻構造がほとんどの場合にかなり完全な形で採用されている。あるいは、フェードアウトなど、それを前提としたうえでの変形。リズムなどは各地のものがあるけれど・・・そもそも南米などは現地にもともといた人よりも、ヨーロッパからわたっていった人の方が多くなっているのでは・・・。
というのは言い過ぎだろうけれど、しかし、似た状況がある。このことを単に自然現象としてとらえていいのか。わからない。
などという私も音楽といえば、日本の子守歌や数え歌などと同じくらいにモーツァルトブラームスの子守歌を聴いてしまって、「ちゅうりっぷ」や「むすんでひらいて」「キラキラ星」などといううたで音感がつくられたようでもある。


何か嘘くさいのだ。自分も、社会も。
何が愛国だ。西洋のマーチをうまくつくって、それがすばらしいという、いや、確かに軍艦マーチはいい曲だよ。でも、マーチっていうもの、西洋音楽の、西洋の軍隊の・・・和魂洋才、なんだ。脱亜入欧、その延長。
伊藤博文のスケベやろうが最初の領袖についた政府、岩倉具視が重要人物か。大久保利通・・・。
明治以降の天皇というのは、何者なのだろう。大戦後の人間宣言はいいや。それ以前のあいまいな日本の王様。江戸時代なら、まだわかる。今は、明治の頃より、江戸時代の天皇さんに近いのかも知れないな。まあいいや。
そもそも市民社会というものが、なぜ降って湧いたのだ? フランスで血を流して生まれた市民。ナポレオンなんて変なヤツとともに暴虐を行った市民っていうヤツ? パンがなければお菓子を食べればいいという。
ああ、そういえば、ずっと民権運動というものがあって、板垣死すともつづいたというような美しい話しではなく、やはり嫌な弾圧の下にあったあの思想の根は、いつのまにか無力化されたのかな。
なんていうと、ネットサヨクだと思われるのだろうか。


話がそれた。そして、元に戻らずこの件は終わり。


ロッシーニは自作の使い回しもしたし他作も利用したようだ。それはあたりまえであったので、バッハにもあるようだが、これはポピュラー音楽でも同じ話しで、あたまえのことじゃなくなった。コラボとかカバーとか、サンプリングとかちゃんと理由を付ける礼儀正しさとともに音楽文化を活性化させる、複製技術時代の音楽。忘れないで、著作権。でも、それに縛られないように。


と、いう話題も、これで終わり。


しかし、ラジオにもテレビにも出ず、西洋の音楽とあまり関わっていない音楽らしきものがある。
沖縄、琉球の音楽というものは、日本の民謡というものは・・・西洋音楽の影響も受けながらも、いわゆるポピュラー音楽との関わり方が何か違うもの。
それどころか隔絶しているもの。先日台湾の少数民族の不思議な音楽を聴いたことが折に触れて思い出されるが、音楽そのものはすっかり忘れてしまったけれど、根本的に違う。
労働のかけ声の延長の音楽。
ある意味では西洋音楽で訓練される部分と違うとんでもない複雑さを持った音楽、アラブのものだったか、東欧の音階だったか、何かすごいものがあったような。


と、いう、何か外の世界を忘れては行けないような気もするし、そんなことを考えるのは不自然なような気もする。


さっき、テレビで音楽(バラエティー)番組をゃっていた。アイドルというような言葉が出てきて、そういう歌手が出てきた。
○○年代の曲のリクエスト特集。そのなかではサザンオールスターズの「真夏の果実」という曲が、なんか良かったなあ。
そんなものを私たちは聞いてきたのだけれど、忘れる。たとえば、高橋留美子のマンガのことも、忘れる。


20世紀の音楽、ここでクセナキスグバイドゥーリナの話しにもどりそうに、頭の中はさっき戻りそうになっていたのだけれど、あれ、なんだったかな。