民主党の政権運営について

長妻厚生労働大臣が製造業への労働者派遣を原則禁止する、「労働者派遣法」の改正案を来年の通常国会に提出するらしい。
民主党人気のうち、貧乏人が支持をする根拠になっているかもしれないこのひと、しかし思えば舛添氏も自民党の中では閣僚の中でも信用できそうだと思われていたのではないか。
厚生労働省の扱う分野が国民一人ひとりの生活に密着しているために、いつからか国民(しかも貧乏なひとたちを含む)の意識をないがしろにできなくなっていたというようなことでもあるかもしれない。と書いてしまったが、これは、普通は大臣の人事などで国民の好みに色目を使っていられない、ということのようでもある。あるいは世論などないがしろにしてもいい、と書き換えてもいいような気もしたが、世論をないがしろにできないことは重々承知しているはずで、しかしそれと実際の政治とは別だと考えていたようでもある。
もちろんそれはそのとおりで、世論に色目を使っていて結局国民のためにならないということもあるし、世論を意識していて支持団体の支援を得られなくなったらメシの種がちいさくなるのであり、また政治家が実際に行政を左右するのは大枠の部分であろうし、実際に末端で行政に携わるひとたちの事を考えるのは官僚である。末端で行政に携わる人たちがなかなか素敵な方々で、官僚の方々もちがったかたちで素敵なひとたちだとは思うのだけれど、この素敵という言葉の使い方は単なる皮肉ではなく、ほんとうに素敵なこともないわけではないというのは、なんともおなかが痛い話だったりする。まあ、そんな行政組織のことはなまなかでは如何ともしがたく、なまなかでなくとも、実際にいとなまれている人間関係に手をつけることは難しい、って、人間関係の問題なのか? という得体の知れない貧乏人の想像に意味があるかどうかはわからないが・・・。しかしなぜその実際の政治と世論を結びつけなければならない方向にシフトしたのか、というと、行政組織の破綻なんだろうなあ。
(以下、●印まで省略しても読めます)
基本的には大男が総身に知恵がまわりかね、ということで・・・うーん、単にそんな事じゃあないか。日本が豊かになった、しかも人類史上かつてなかったほどに、といってもご存じの通りちょっと前まではイギリスがそうだったし、今もドイツや北欧、フランスなどと比べて日本が豊かというのは難しくなったし、世界大戦後はアメリカが圧倒的にそうだった、という話のふくらませ方はともかく、日本は人類史上国家運営が最も成功している状態にあった時期があった、とか・・・いう、話ではないな。そんなことではなく、国家運営の状態が良くなるベクトルが急速だったことが問題だろうか。それがずっとつづくと思ったことや、行政組織の人たちがその状態を、まるで自分の手柄か何かだと考えたことが問題なのか、というのは今私が想像してみただけの話で、実際の行政組織のひとがそんなマクロな視点に立っているとはとても思えないのであって、つまりは人が歯車の一部として、特に行政の対象には組織としてふるまうのだなあ、つまりは組織がものを考え始めるのであって、組織として、自分の手柄で大きな事を成し遂げている気持ちになるのであろうし、しかし「組織が考える」とは、いかなることか、考えるようにふるまうようだけれど、という・・・。ともかく、この大男は先のこと、変化を考えなくなった。いままでの流れから考えるばかりで、そこに現れる未来の兆候には注意を払わなかった、でも、それはふつうのことだなあ。福沢諭吉が「一身自立」というようなことを書いていたと今やっている「坂の上の雲」というドラマの中で出てきているのだけれど、自立は、していないと。いや、組織論じゃないし。しかし、個々の構成員の意識が全体を左右し、それぞれ構成員のふつうのことが、組織全体としてまとまって・・・と、福沢諭吉の考え(らしいこと)をすっかり自明としてつかっていいのか、と書くこの思考のフィードバックは、なんなんだろう、自分でもよくわからない。
(●ここまで省略できます)
と、いうときに長妻さんを厚生労働大臣に起用するということ、彼がいままで言ってきた、やってきたことが彼を縛るであろう人を、というのは、こりゃあちょっとすごいことなのであって、舛添氏にも似たところはあったとしても、その厳しさの質は違うぞ、と。倒れなければいいけれど。ちょっと、いやかなりちがう話ではあるが、中川昭一氏を思い出した・・・。
しかし、なんとしても片付けたい案件が多いだろうこと、おおむねは小泉・安倍時代につくられた流れと逆行すること、そういう色の問題としては、労働に関する最大の問題は製造業への労働者派遣を中心とする構造改革(?)だったようだが、現段階、すでにその制度を前提として産業・雇用が運用されている状況(巨大な川の流れのようなもの?)は、たとえ当該制度があまたの弊害を生み出したのが確かであったからといって、もはやその制度制定前にもどすというような話ではなくなっているだろう。と、いうようなことはさすがにマニフェスト制定時点で「ある程度」は考えていただろうし、しかしその予想が実際に手をつけたときには違った様相を呈する、ということも考えていただろうし、しかしそのときに考えなければならないことが、どのようなことだと現段階で考えていて、どのようにその問題を解決できると考えているのか、そのあたりを知りたいところではある。そこまで踏み込むのは、これからなのか・・・私たちはそんな議論を知ることができるのだろうか。
小泉やりっぱなし内閣の後始末を民主党でするという構造があるような気もするし、政治はそこまでしなくていいのだという小泉氏の声が聞こえるような気もするし、長妻氏はそのように禁止してやりっぱなしにするわけにいかないということになってしまうかもしれないし・・・。
その他の「案件」、医師不足とか、こども手当とか、多々・・・。税制とのかかわり・・・。財源とは?


普天間飛行場問題が紛糾していることをなにか鬼の首を取ったかのように糾弾する、というほどではないのかもしれないが、自民党の党首の言葉の軽薄さ、聞くに堪えない。
日米安保条約を中心とした安全保障体制というものをある種の錦の御旗のように感じているのであろうし、それが現実の政治というものだということなのだろうけれど、それをやみくもに口にするということはいかがなものか。実際はそうではないのかもしれないが、マスコミの要約の仕方がさほど恣意的なようにも、この点に関しては思えない。あれでいいと思っているらしいのだから、国民を馬鹿にしているようにしか思えない。
安全保障、集団安全保障の考え方というものが世の中にあるらしいけれど、それを理解できるような教育をしてこなかったのに、だからおまいらはわかっていないんだ、という・・・。そして、そのさきにある話は、日教組が悪い・・・。馬鹿なサポーターを何とかしろよ、自民党日教組がもはやちからを持っていないことはわかっていいはずなのに、その力のない教職員の一部の団体トップにすぎない日教組執行部と同じ次元でしか話せない、そんな自民党執行部が国家体制の運営に責任を今まで持ってきていたのだ。馬鹿じゃないか。そういえば文教族町村派(かつての森派)だったではないか。なんなんだ、いったい。
沖縄県民の負担というものを考慮する、その重さのはかりかた。そこにあらわれる恣意性。民主党トップの混乱する状況は恣意性を排除しようとしたために生じたことのようにも思える。ちょっとややこしい話だが、社民党がかかわっていて、その連立ということを尊重する上では、混乱は必至で、混乱は正しい気もする。沖縄県民が「現段階で」社民党しか頼りにできないことも、ある種象徴的なことであり、そのなかで沖縄以外の国民もようやく沖縄にとって米軍基地とは何かがひとごとではなく感じられてくる可能性もあるような気がする。
決まっていたはずの話を蒸し返す。そのことの是非ばかり。
決まっていたはずの話だろうが、変える可能性もあると感じられなくして沖縄という地域の信頼を得られはしない。これは沖縄という国があった、今もないわけではないというような話になってしまうかもしれない。自民党金科玉条とする集団安全保障体制、それが沖縄を除いた地域の住民を主に守るためであり、沖縄はある種の属国としてリスクをとるのは仕方がないというリアリズム・・・そんなものは現代のリアリズムではないのであって、そんなことは自民党も百も承知どころか、口が裂けてもそんなことは口にしないたぐいのことではあるけれど、翻って沖縄の人の立場、たとえば生活実感から言うと、それ以外考えられないうえに、あまりにも露骨すぎて口にできないたぐいの・・・。
実際には、自民党政権自民党さんじゃあしょうがない、というような実感から、やっぱり民主党さんもおなじだろう、という話には、すぐなっておかしくはないけれど、しかし、喜んでそう感じているわけではない、という感じがあるだろうか。こんな想像、失礼な可能性があるが、もし沖縄の人が読んでそう感じたなら・・・。
民主党として、どこまで自覚していたかはわからないが、社民党との折衝等で混乱している事態、そこで少なくとも民主党自民党とかわらないということはなく、リスクをしょっても沖縄のことを考えていると、今は私は思っている。ポーズかもしれないということはこれからの話で、決着が付かず混乱していることは、私としては評価している。
実際にどのようなかたちに落ち着くか、国外移転がかなえばいい気もするのだが、しかしそれは実は県外移転とさほど変わらない話かもしれない。縮小がのぞましいかもしれない。米国から見ると、実はその程度の話ではないのか、そのことも問題ではないのか。安全保障を重視するらしい人たちは、国民に意識を高く持ってほしいのではないのか。自民党さんが基地を沖縄に押し込めていてくれればいいというような多くの人を味方にしたいのか・・・。
とにかく話を蒸し返したことは評価できると私は思うのであって、安全保障に関するイメージを国民的に議論すべきだという人は民主党の混乱を支持すべきかもしれない。
なんて、ほんとうに私は何もわかっていないひとりなのかもしれない。高校生の時に、同級生の軍事オタクの人からはそう思われていただろう。その頃とあまり変わらないかもしれない、私は。しかし、ほんとうにそういう話なのか。