民主党についていくつか 2

鳩山首相の施政方針演説が話題になっている。ヤジが飛ぶ。政権交代前も同様だったかもしれないが、アメリカ合衆国オバマ大統領の一般教書演説ではあんなことはなかったと、ラジオで言っている。
民主党にもかつて最悪のヤジを飛ばす若かった人がいたらしいが、死者にむち打つことになる・・・。


逮捕された議員のことを話せ、と、自民党の議員が言っていたが、私は、そんなことより政治の中身に関してなんとかしようとしろよ、下野したとたんに重箱の隅をつつくような話ばかりして、政治の大枠の話はできていないじゃないか、自分たちなら何をするのか言わないじゃないか、と言いたい。
与党時代の政治のほうがやっぱり良かったと、国民に思われたい、しかし、自民党の与党時代にやっていたことは・・・事実上なかったのではないかと思う。実は橋本龍太郎のあとには・・・彼が良かったかどうかはともかく、国民に拒否された彼が、その後の首相たちよりまだマシだったのではないか・・・。小渕氏がやったこと、人間の安全保障ということを語ったこと自体は評価したいものの・・・。その後は、政治はなかった。だから、あんなことしか思いつかないのだろう。
自分の言っていることが政治の世界の外の人にとってどういう意味を持つのか、全くわかっていない。官僚に対して力を持っている人間だというおごりとともに市民の前に現れ、官僚に力を及ぼせる範囲以外で何かをしようと思うのは、気が向いたときだけというくらいで、市民の困窮は、しょうがないことだと思っているのだろうとしか思えない。自己責任だとさ。労働組合の人は楽して労せず権利だけ主張していたんだとさ。実際にそんなこともあっただろうから全く腹立たしいけれど・・・。
特に小泉という人がやっていたことのおぞましさ、あれを、支持はできないが面白いくらいには思っていたことも、自分が情けない。確かに時代を読んでいた部分があったのはわかるが、郵政改革に何の意味があったのか、今のところわからない。労働者の派遣に関しては・・・たぶん悪質な派遣業者から暴力団に資金が流れたと思っている。そして、それはほとんど放置されただろうと。
今までの与党が、こんなものだったことに心底失望せざるを得ない。これじゃあ野党時代の民主党以下、どころではない。官僚の助けがないと、何もできない人たちだったことがわかる。政治に継続性が必要だという事、間違いない。しかし、それ以外にない。自民党で生き残った人の中で、まだマシだと思われているらしい石破氏などは、その典型ではないか。原則論で優位に立てるとの自負以外、彼に何があるのだろう。
普天間問題などという、安全保障に関する案件の中でもひとつの問題ばかりをがたがた言って、様々な問題には・・・経済対策についてよりよい施策を示しているわけではないような気がするのだが・・・ダメだというなら、これではダメだ、ではなく、こうしなくてはダメだ、という言い方しかないはずであり、小沢氏や鳩山氏の資金問題ばかりについて時間を割くこと、元社会運動家がいる政権だと強調したがること、無様であるし、自民党政権下では清濁併せ呑むというのが常識だったのではなかったか、今更・・・自民党時代に野党が自民党に対して言っていたことだから、与党になったらちゃんとやれ・・・そんな話ばかりだ・・・。しかしこれはそれなりにややこしい話だが、どちらにしてもだ。
こう考えると民主党も情けない部分はあるものの。


鳩山氏は変な人だ。今回の演説のキーワードは「いのち」らしくて、何回言ったとかが話題になっている。テレビ朝日のニュースで浜さんという人が理念を語ることは普通に評価できる、言葉には重い意味があって正しい、が、存在が軽いとか言っていた。あはは。そうかもしれないが、そんなことを言わなくても・・・。「成長戦略を語る時代ではない」とはっきり言った方が良いとか、この人感じは悪いが面白い。ガンジーの引用すら評価している。それは・・・。
誰かの言葉を借りることは、安易だよな。理念先行であることも、本人が認めてもいたし、しかしまた自ら続けて言っていたようだけれど、現在では敢えてそうすることが・・・必要という言葉ではなかったかもしれないが・・・少なくともやじり飛ばして良い話を、鳩山首相はしていなかったはずであり、それに怒号を浴びせる自分が何者か、気付かなかったのだろうか・・・。
引用されていたガンジーの言葉は、「20世紀資本主義の7つの大罪」というようなものらしく、「原則なき政治」「道徳なき商業」「労働なき富」「人格なき教育」「人間性なき科学」「良心なき快楽」「犠牲なき信仰」・・・資本主義へのカウンター・メッセージをあっさりと肯定して口にしてしまって、グローバリズム経済の世界に現実的に矛盾せず生きていけるのか、官僚たちはおそらくアメリカ合衆国においてよりも変化への対応力に乏しいのだから、そんなお題目を・・・どう受け止めるのだろう。あるいは、免疫がないから案外共感したりする人も・・・あまりいないか、さすがに。
理念を語ることの危険性は、それと現実との間で引き裂かれることではないかと思うが、浜さんという人が言っていたとは逆に、存在の軽さはある意味生き延びるために役立つのかもしれない。ただし、実効性のある施策につながらないのではないかという危惧も抱かせる。
しかし、それでも自民党より遙かにマシな感じは、今のところはしている。