私は誰だ 16

4/1から、毎年やっている小品の個展を今年も市内の喫茶店でやるはずだった。が、急遽個展をやりたいという方がいるということで、最近いきなり制作が不調になっている私は渡りに舟、で延期してもらう。
不調といっても、その前には近年にないくらい絶好調にも感じたのだが2日くらいだったか。そんな時に雑事やイライラすることがあると、たいしたことではなくてもウニに泥を塗られた(by赤瀬川源平)ような怒りを感じる。感情、思考を統御する脳のどこかの機能が弱っているのだろうな。あるいは、もとから弱いのか。


正味のところ、私はまともな人間じゃあないということを受け入れなければならないのかなあ、といえば、まともな人間なんてものが世の中にいるというわけでもないのだけれど。たとえば至極まともな人同士が対立もするだろう、そんな浮き世。互いにまともだとは思わないだろう。まともって何だ。
しかし自分で自分を外から見たら、嫌な人間なのだろうという、自分自身の受け容れ難さ。それでまともではないと思う。この年で母親に甘えている、というのは一般的なイメージとは違うのだが、金銭的に頼っているし、母親の欠点にイライラするあたりが甘えているようなものではないかというような気もする。いわゆるマザコンでは決してないが、そういうマザコンの人も嫁さんを他人のままに線を引きっぱなしでさえなければ、案外身近な人間とのコミュニケーションが不快と言うことなのか、知らんが。私自身は母親に甘えるなど、言語道断としか思えないものの、そんな言語道断な状態であり、そんな自分は一刀両断にしてしまいたいものだ。
もちろん私は浮き世的には、とてもまともどころではない。それは、敢えて、甘んじて、受けるよ、ていうか、受けるしかないよな。


などと書きながらも、実感としては今の自分が、以前よりまだましだという感じもないわけではない。
そういえば、私は3年前に壊れた。まだ壊れたままだが、壊れそうできしみ続けていて、そうなる不安に常につきまとわれていた頃よりはマシかもしれない。
しかし、壊れて、自分が自分だかなんだかわからなかった2年間のほうが、外から見てまともだったかもしれないと思わないでもない。それなりに自尊心を取り戻し、嫌なヤツになるだろう。嫌なヤツになることが出来なかった恐怖の3年間。
ときどきぶり返す。
心の中に地雷があって、処理できていないものは、残るのだろう。それを踏んだ人は何が起こったかわからないかもしれない。表に出さずに黙り込んだりする可能性もある。一度爆発すると、また増えるのが怖い。
まだじっとしていたほうがいいのか。
やっぱり精神科に行った方がいいのか。


私は普通の仕事を軽蔑しつつ、普通の仕事も出来ないのだろうなあ、そんな気持ちを抱き続けるのは嫌だなあ、という理由で、条件の良くない(そんな仕事しかない)仕事にも就いてみたいという気持ちもある。コンビニのバイトもやったことがないのだ。引っ越しはあるけれど、学生バイトとして、というのはちょっと違う。ああいう仕事ばっかりやるのが、本当の世間というもの何じゃないかという気持ちがある。耐えられるだろうか。単調さとかに。怖いが、やらないままも良くない気もしている。
ふつうならそんな仕事では生活も成り立たないのだが・・・ワーキングプアというものか・・・。
もちろんそれどころか、失業者なのだ。


自営でやっていた仕事も、時々は来るかもしれないなあ、いま来ると助かるし、来るかもしれないのを、確認してみた方がいい気もするのだが、面倒なのでしない。しない自分は良くないという気もするが、そういうふうに自分が良くないと思うことが良くない。
そんなことを言っていられないだろう、とは思うものの、そんなことを言っていられないからと言って焦って良かったことはない。
でもねえ・・・。


どう動いたら進む途は見えるのか。
とりあえず、音楽のことは気が向いたときに考えればいいということで気が楽になった。気が向いた方向に・・・なんかブラームス交響曲第3番と、ショスタコーヴィチ交響曲第5番マーラー交響曲第1番なんていうものが気になっているのだけれど、あまりいいことではないような気もする。私にふさわしいことだろうか。
彫刻も、焦らないでいいことになった。こっちはちょっと本腰入れたいものの、焦りはなんとしても排除したい。
しかし、このふたつをどうするかは、今までの流れで考えない方がいいかもしれない。
あと、あれと、あれがある。あれは後回しにしよう。
ずっとどこかで気になっていた人に会いに行こう。残念ながら恋人候補ではない。仕事をして知り合った人など、私が普通の人間なら友人になったかもしれない人、知人のはしくれとして会ってくれそうなくらいには思ってくれそうな人。
でも本当は何もしたくないなあ。


少しは動いて、考えて、死ぬまでのことを考えよう。浮き世と関わりたくないわけではない。しかし、どこに接点があるのだ、どのような?