点景 1

床屋で、今年の春はどこかへ出かけたかという話をする。
あまり出かけず、夏にキャンプに行くくらいで、いつも豊浦だという。安くて設備も良くていいらしい。
子どもの頃は家の近くの浜でキャンプをして、たき火なんかした、という話も。
基地の話も出る。基地。
で、問題はたき火。
実際にどこでやればいいのか、簡単にできる場所があるかどうかもわからないが、たき火はいいなあと思う。少し何か焼いて食べて、酒を飲んで、ぼんやりして、のんびり過ごす。そんなのがぜいたくだとか、そういう話になる。

と、書いている今、のんびりとかぼんやりとか、できていないことに気付く。
失業していて時間があるが、それでもできない。
長い間、時間が上手く使えず、家を片付けない日々の集積物にかこまれて心が追われているのか。

地域で何か、はぐれ者のネットワークを作りたいと思ったが、話が合う知り合いと助け合いたいというか、ただ助けてほしいのかもしれない。
メディアを作りたいと思いつづけているが、お前なんかが、という声が響く。

焚き火大全

「谷根千」の冒険 (ちくま文庫)