読書日記090608

読書せずにいられない。が、時間も気力もない。で、少し読んで寝る。
たとえばこんなもの。

現在いちばんよく読んでいるのは
「時代の風音」堀田善衞、司馬遼太郎宮崎駿の各氏による長編対談(?)。
3人の中で私がいちばんよく知らないのは司馬遼太郎さん。多くの人がいちばんよく知らないのが堀田善衞さんだろう。堀田さんは宮崎駿さんのからみで知った。「アニメージュ別冊」というようなものに、突然堀田善衞氏の文章があらわれたときのショックから、スペインやキューバに関して書いている人だということが気になり、岩波新書の「情熱の行方」を最初に読んだと思う。高校の図書室で見たような気がしてきた。そうだとすると以来25年ほど読者を続けていることになると、今気付いた。
この対談を読むのは2度目か3度目。もともとの堀田氏の読者だったこともあわせて、世界の見方が変わった。
正直、多くの日本人の世界の見方は浅はかに過ぎるだろう。ただし、教養のある層ほど、浅はかだと思える。自分が教養がないと思っているようなひとは思慮深い。私はもちろん教養があると思っているし、浅はかだ。
この対談、主に堀田、司馬の2氏の博覧強記というか・・・ちょっと違う・・・その世界の見方、知識の方向性に瞠目した。
似たような体験をしたのは蓮見重彦氏と山内昌之氏の東大コンビの関係している書籍で、最近彼らの名前がついた二冊目の本を買った。山内昌之さんの、新書などのかんたんそうな著書を見つけたらチェックしている。先日爆笑問題の番組に出ていた・・・。

「グルメの食法」玉村豊男さん。まあ、グルメで、スノッブで嫌な感じがするかと思ったが、普通に面白い。意外な西洋文化史。食の歴史は面白い。

「日韓音楽ノート」姜信子さんという方の、岩波新書。ローカルな文化的記録かと思ったが、韓国との意外に深い関わりから日本近代の音楽とは何かが浮き彫りになってくることに驚いている。民族音楽の研究者の・・・名前を失念した・・・方が歌謡曲についた本・・・小泉文夫さんといったかな・・・も、面白かったのだが、専門的ではない記述がより音楽とは何かに迫っているように思えている。

と、いったのが最近よく開くもの。
こういう本を2〜10ページくらい読んだらもう疲れてしまう。
それですぐ眠ることが出来ればいいのだけれど・・・。
そんな中途半端な読み方では興がつづかないものだけれど、それに慣れてきているし、そういう読み方に合ったものを読んでいるかも知れない。


少し前は
小林恭二選「俳句とは何か」を読んでいて、と、いっても、最初に載っていた山本健吉さんというひとの「現代俳句」(抄)に、びっくりしたのだった。俳句はわからないのだけれど、この評論(?)を読むと、厳しく鮮やかな表現が重ねられている世界なのだということが浮かび上がってくる。
「詩」全般が苦手で俳句や和歌もそうであり、山上憶良小林一茶ならすこしはわかるような気がするというようなもので、しかしわかっていなかったというか、そもそも一茶も憶良もほとんど知らない。
俳句や古典に親しもうという気にはまだならないが、そういう鮮やかな世界があるということを知るだけでもうれしい。
これを開くのは20年近く前に買って以来なのだけれど、当時は巻末に載っていた、小林恭二氏も参加した句会の実況中継に舌を巻いたというかやはり瞠目したものだったけれど・・・。

その前はアドルノの「音楽社会学序説」など、あちこちデタラメにページをめくっては読んでいた。


数日前に、ちょっと読み込んでしまったのは原一男監督のドキュメンタリー映画、あの、伝説の「ゆきゆきて神軍」の「制作ノート+採録シナリオ」という冊子。これを買った映画館で、ドキュメンタリー映画祭というものをやっていて、そのチラシを作って・・・今回は「ゆきゆきて神軍」はないものの、ふと本棚に手が伸びた。
とにかくすごいのだ。


枕元にはほかに、中島敦や、花田清輝、多数のマンガなど、多分100冊以上積まれているというか、それが崩れていたりして、そういう人の写真というものを見たことがあるような気がする。坂口安吾のものもあったようだけれど彼は座っていたはずだ。布団で寝そべっているひとの、しかも美しい女性の枕元に本が積み重なって山になっている写真を見たような気がする。もちろん普通の意味で色っぽくはないのであって、何か鬼気迫るようでもあるが、本人はどこ吹く風という感じではなかったかと思うけれど、その映像を脳裏に浮かべるほど直感像として残っているわけではない。


最近ちょっと読みたいのは中勘助の「銀の匙」。最近と書いたけれど、実際に読み始めたのはたぶん5年以上前で、こんな掌編、読みかけたままだ。最近手に取ったことは覚えているが、山に埋もれてしまった。

時代の風音 (朝日文芸文庫)

時代の風音 (朝日文芸文庫)

グルメの食法 (中公文庫)

グルメの食法 (中公文庫)

日韓音楽ノート―「越境」する旅人の歌を追って (岩波新書)

日韓音楽ノート―「越境」する旅人の歌を追って (岩波新書)

俳句とは何か (福武文庫)

俳句とは何か (福武文庫)

音楽社会学序説 (平凡社ライブラリー)

音楽社会学序説 (平凡社ライブラリー)

ゆきゆきて神軍―製作ノート+採録シナリオ

ゆきゆきて神軍―製作ノート+採録シナリオ

ゆきゆきて、神軍 [DVD]

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