美術展めぐり091023

久しぶりだ。
札幌には楽器の練習で月に何度も行っている。以前はもったいないのでその度になるべく美術展を見るようにしていたのだけれど、最近はたまに練習会場に近いギャラリーを覗くくらい。私の専門は美術なのに。


札幌芸術の森美術館の山本正道展、良かった。同じモチーフの繰り返しが気になる人がいるかも知れないが、いいものはいい。砂岩の彫刻の、丁寧に彫った質感、よかった。最後の方の小品、浴槽のようなくぼみに階段で下りていくような部分がある四角い作品、すばらしい。ロビーに置いてあった新しい作品、もっとまわりになにもないところで見たかったなあ。ほかねいろいろ。静かな時間、空間。叙情的なのが感傷にながれそうだと思っていたけれど、造形のちからが勝っている。


次、ギャラリーたぴおというずっと以前からある老舗の画廊で、4人の、グループ展? SAGというプロジェクトの2回目の企画なのか。川上りえさんと、高橋靖子さんという方の作品が面白かった。でも、何か繊細すぎやしないか。
つづいて札幌時計台ギャラリーというなんというかもっと老舗中の老舗のしかも大きな画廊(?)で、伏木田光男さんの個展などを見る。伏木田光男大先生、たくさんの作品。すごいエネルギー。塗り残しのないセザンヌと、ちょっとマチス、ただ、セザンヌよりも自動的で塗りつぶしが脂っこい。なにかシステマチックに感じる。迷いがないというのが、いい意味ではない、などと、偉そうだな。すいません。いい絵をいくつも見せていただきました。静物作品の青や緑が美しい。芸術の森のロビー近くの個室でも伏木田さんの展示があった。なかに、欧米の(?)精神病院を描いた絵があって、とても良かった。


道展、知っている人がたくさん居る。だから、毎年挨拶に来るような感じ。
ひとつ上の学年の先輩の作品が良かった。自然との折り合いの付け方。ひとつ上の学年の、もうひとり、あんまり美術っぽくない体育会系の先輩がずっと続けていて、今回会友になって、懐かしいなあ、と、思った。おめでとうございます。教え子の親戚の方の人形作家の方の作品がなかった気がする。あのひとはやめたのかな。後輩で注目していたひとは会員に。会友だったかな。去年か一昨年会員になったばかりの同期の子(という年じゃないか)が出していない。寮の後輩の作品を見るのを忘れた。あるいは、印象にない(ゴメンナサイ)。などなど。
道展では油絵の若い人にけっこう注目している。ふたり、すごいのがいる。私よりずっと若い。今年は、ひとりは以前見た感じの作品で、しかしかなり良かった。もうひとりは、なんかいままでとちがってすごくて面白かった。ほか、若そうなひとひとりチェックしていたひとは去年ほど面白くなかったが、もうひとり新しいひとをチェックした。この4人に具象的なものを書いている人は居ません。ほかにもいろいろ、油絵の若い世代は私より少し年上や少し年下のひとも含め面白いひとがいる。ハイパーリアリズムみたいなのは、ここのは、私はダメ・・・。
芸術の森で山本正道さんの世界のおちついた時間を過ごした後に、時計台ギャラリーで雑然とした雰囲気に踏み込んではいたものの(伏木田さん以外にも展示を見たので)、道展、公募展というものを見るのは本当にきつい。頭の切り替えができなくなってきているかもしれないし。ざっと見てから、もう一度まわって、やっと頭に入ってきた作品もあった。
油彩で注目しているひとたちも、最初に書いたひとつ上のひとも、美術表現の可能性を広げるようなベクトルの活動をしていて、体育系の先輩なんかは、真面目にこつこつやっていて、新しいとは言えないかもしれないし、ひとを知っているからかも知れないけれど不思議な面白さがあると思うし、いろいろなことをやっているひとがいて、変なものだなあと思う。
実は全てのひとと疎遠で、平日だから会場でも誰とも会わなかったのだけれど・・・懐かしい人たちに会ってきたような感じがする。ほかにもいろいろな関係のないひとがいてざわざわしてうっとうしい感じもあるが、まあ、しょうがない。