マンドリンオリジナル曲について1

マンドリンオリジナル」なんて言い方、いいのかどうか。
マンドリン合奏、重奏、アンサンブルのために書かれた曲、主にイタリア、ドイツ、日本、フランス、アメリカ・・・くらいかな。オーストリアのウールさんという人の曲を弾いたことがあって、面白い曲だったとは思うのだけれど。
あと、日本では、イタリアでマンドリン合奏の曲を書いたひとの管弦楽の曲などがマンドリン合奏用に編曲されることも多く、これは不思議な現象だけれど、でも、これが侮れない。中野二郎さん、松本譲さん、最近だと石村隆行さんが似た感じの仕事をされているような気がするけれど、ちょっと正確ではないかも知れない。このような曲を「マンドリンオリジナル」というのは言葉としては間違っていますね。
クラシックの有名な曲を編曲するひとでは、私は小穴雄一さんの印象が強いですが、鈴木静一さんもやってるんですね。ラヴェルの「ボレロ」なんて・・・マンドリンオケに打楽器を加えた編成らしいですね。そういうのを「マンドリンオリジナル」とは誰も言いません。


特にイタリア、ドイツ、日本ではアマチュア音楽の特殊なあり方としてほかの国々より特別に発展した(時期があった)ようで、日本では主に大学生のサークル活動を中心に、ドイツでは「国民音楽」とかいう発想があったようななかったようなことを読んだことがあったような気がする。20世紀はじめのイタリアで最も盛んだったと思うけれど、イタリアでのマンドリンブーム(?)というのは、どういうことだったんでしょうね。


ともかく、私たちはこの、文化的に若干奇妙なポジションにある楽器の合奏を楽しんでいるわけですが。
吹奏楽の世界とちょっとだけ似ているかな。愛好者人口なんかのスケールは全然違いますが。「吹奏楽オリジナル」なんて言い方もしなさそうですね。でもアルフレッド・リードとか、ジェームズ・バーンズなんてひとがそんな形容があはまりそうな曲を書いてるかも知れません。そのジェームズ・バーンズさんの「アルヴァマー序曲」を、日本の桑原康雄さんがマンドリン合奏用に編曲していて、それがなかなかいいと私は思うんですが、ちょっと今YouTubeでいろいろ見てみたら、吹奏楽原曲も、やりようによってはかなりひどい・・・。あ、でもいい演奏もありました。
でも、なんでしょうね。吹奏楽の「アルヴァマー」は何度もどこかで聴いた、いかにも吹奏楽らしい良くある曲という感じがするのですが、マンドリン合奏でこの曲を聴いたときはすっごく新鮮だったんですね。メロディーがマンドリンオリジナル曲で聴かれることがないものだという感じがして、それがどういうことかは未だ分かっていないのと、あとは打楽器かなと思うのだけれど・・・いずれにしてもこんな曲に目を付けた桑原康雄さんというひとが改めて気になったものでした。


などということを「マンドリンオリジナル曲」というタイトルで書こうしているうちに書いてしまいました(しかしなぜ私はデスマス体で書いてしまっているのか)。
しかしきっかけは鈴木静一さんの「スペイン」第三組曲の、第三楽章の音が頭の中に流れ始めたからでした。3拍子の強烈なリズムは、「ホタ」なのでしょうか。違うかも知れませんが。そして、なぜこの曲が思い出されたのかちょっとわかりませんが、そういえば、私は大学一年生のときに「スペイン」第二組曲、第三組曲、どちらもいちおうステージで弾いたなあと思い出しました。ほかにも確か「受難のミサ」も弾いたような気がしたのですが、次の年だったか。次の年には「雪の造形」も弾いたし、「細川ガラシャ」を弾いたのはどちらかの年だったと思います。今も鈴木静一さんの曲で好きなのはまずこの5曲。
マンドリンオリジナル曲」には組曲が多いな、とか、思ったのですが、取って付けたようにそんなことを考えて文章が終わるのはいったいどういうことなのでしょう。「スペイン」第三組曲の第三楽章に加え、有名な「スペイン」第二組曲の第一楽章だと思う、サッポロクラシックというビールのCMに使われたあのメロディーもうかんできます。そういえば、鈴木静一さんの「ヴェルレーヌの詩に寄せる3楽章の、唯一知っている「空」も好きだなあ。